幻の名機といわれたスタンホーププレスが、わたしたちの博物館にやってきます。日本で4台目にあたります。これを機会に、それの素晴らしさを探ってみたいと考えました。史上はじめての総鉄製の印刷機、それによって印刷文化の歴史は一変したといわれてきましたから。イギリス産業革命のまっただなかで開発されただけに、そこには人類の英知が隠されているにちがいありません。 しかし、スタンホープ機は、たんに技術史上の意義をもつだけではないことも、判明しました。チャールズ・スタンホープ伯爵は、この発明に人生を賭けていました。それは、印刷機の改良によって新聞や出版の自由を伸長できると信じていたからでした。フランス革命を熱烈に支持するほどの自由主義者は、産業技術に夢を託したのです。 機械と人間と社会。この永遠の主題をかかげて、わたしたちは今回の展覧会を企画・準備しました。多くの方がたにご覧いただき、ご批評をたまわりたいと