もう数十年も前の話だが、高校の頃、体育祭で騎馬戦があった。当時の自分はもやしの体型だったから、あまりそういうガタイがモノを言うみたいな競技が嫌だった。というよりも、正直に言えば、当時はそんな体型だったので同級生からも少しイジられていて、ガリだということにコンプレックスがあったことが一番の理由。だから体育祭で騎馬戦が始まる頃にはこっそりと帰宅した。帰ったら母親がいた。 「あら?どうしたの?」 「いや、ちょっとお腹が痛くなって。」 何だかバツが悪くてとっさに嘘をついた。 「ふーん.....そう。」 何かを感じ取ったような間のある返事だった。でもその後、何も聞いてこなかった。母親はその数年後に病気で亡くなってしまったんだけど、もしかしてあの時に自分がいじめられているとか変な心配をかけちゃったかな?と回想する時がある。だとしたら申し訳なかったな。母親が亡くなってからもう数十年。久々に会えるとしたら