30年前、母子家庭で貧乏だった。何より金が欲しかった。 今、大人になって普通に暮らす分には金に困ってない。母もだ。 子供の頃にひもじい思いをさせたからなのか、母はことあるごとに金を渡そうとする。 裕福になったからと言っても金の有難みは変わらないから、 無駄遣いせず、俺に渡さなくてもいいからと何度も断る。 でも渡そうとしてくる。 いいんだ、母よ。本当に気持ちだけで良いんだ。 金よりも、老い先短い母が元気でさえいてくれればいい。 時々親子ともに若い頃に戻りたくなる。 金だけじゃないな。欲しいものは欲しい時に無いものだ。