筆者によると「いわゆる業績評価制度」が研究者の世界にも侵入しており、発表論文の数が評価要素であることもあり、大量の論文が生産されている。そしてそれらの中にはトンデモ論文も多数含まれている。確かに、健康関連では「私はこれで成功した」というトンデモ健康本が良書を駆逐しているような気がする。たとえ医学博士が書いたものであっても。 STAP細胞のような論文捏造は論外であるが、必ずしも研究者はトンデモ論文を悪意で書いているわけではない。しかし、プラシーボ効果や実験者効果(比較実験なのに、効果がありそうな方を「無意識に特別に」(丁寧に)扱うことから生ずるズレ)、確証バイアス(都合の悪いデータを無視するなど「思い込み」によるズレ)などでおかしな結論になってしまう可能性があるので、研究は慎重に計画する必要がある。 著者は、「これらのトンデモ説を避けるためには、同じテーマの論文のうち「質の高い(=エビデンス
流石に細菌学のProの先生が書かれただけあって 普通なら調べてない詳細も歴史学的意味も述べられています。 今の時代であっても対処が遅れれば命にかかわる疾病ですし 医学部でも教えません。ナイアガラの滝へ観光に行くと「リスに餌をやらないで下さい。ペストに罹患する恐れがあります」と看板があって「まだ消えてないんだな」と実感します。 逆に今時だとわけわからずに抗生剤投与されて気づかない内に治ってたりするケースが隠れてないかな?医師でもペストには一生出くわさない人が多いと思います。実際診たことないし、そういえばHansen's Diseaseも診た事ないですね。30年やってるんですが.......
自伝や伝記を読むと、自分もそのような立派な人になれるのかというと、もうひと捻りの工夫が必要である。 すべては一杯のコーヒーから の著者とは、本人が三和銀行の赤坂支店から池袋西口支店に転勤して来て退職するまで同僚として働いたが、支店での出来事、退職の経緯、タリーズコーヒー立ち上げまでの出来事、すべてが本人に都合の良い部分だけ取り上げ、いくつかは全く事実でないことも書かれている。あまりに事実と乖離しており、読んでいて気分が悪くなったので、すぐ売却してしまった。しかし、レビューを見る限り、多くの人に感動を与えているようだ。都合の悪いことは、本人の名誉もあるので私も語りはしない。当時の仲間と大勢で集まることがあっても、その人の話題が出ることもない。 これは大きな学びである。少なくとも上り詰めた人は好き勝手に持論を述べることができる。説得力もある。しかし、鵜呑みはいけない。本書で書いてあるように、そ
“他人の悲鳴を音符に置き換えるようなことはすべきでない。” 本書の中のすごく胸を打たれた一文。 大まかに2部構成になっており、前半は看護師向け雑誌(現在休刊?)に連載したもの、後半は単発の論考を集めたもので、どちらかと言えば後半の方に読み応えがあった。 中でも同感なのは、境界型人格障害をはじめとするトラブルメーカー的な人たちやクレイマーと、どうやって接していくかについて書かれた部分。まず第一が「その場しのぎ」。 “話の通じない相手には、淡々と必要最小限の援助を提供し、それをも拒んだり曲解しようとするなら、たんに損得感情のレベルで「こうしたほうがあなたにとってベターですよ」と告げて引き下がる。” これは自分も問題行動の多い患者(特に入院)に使う方法で、「こういうことをしていると、あなたにとって損ですよ」ということだだけを告げておいて、あとは多くを語らない。それで行動が改まらない場合、淡々と粛
同じ研究者を志す者として羨望を禁じ得ないほど素晴らしい。そのまま英訳してHarvardやOxfordから出版されてもなんら不思議ではないほどの内容。 いわゆる「リベラル」とそれへの批判が中心となっている現代政治哲学において、とくに功利主義が軽視されがちな日本において、長年蓄積されてきた功利主義の知的営為の奥深さを再認識させられるだけでなく、統治の理論としての功利主義の魅力を教えてくれる。 第一部では、功利主義内部のさまざまな分岐点を丹念にフォローし、それら分岐の論理的・倫理的な意義について論じるとともに、「統治功利主義」と称される筆者の立場を、これら理論的な分岐点に対してどのようなスタンスをとるかを示すことによって、浮かび上がらせている。 ちなみに、ここで扱われる多様な分岐点とは、「統治理論vs個人道徳」、「行為功利主義vs規則功利主義」、「直接功利主義vs間接功利主義」、「厚生vs内在的
2014年の夏ごろ「家事ハラ」という言葉がワイドショーでとりざたされました。 夫が手伝った家事に文句をつける妻、手伝うという意識しかない夫を指して「家事ハラ」だと紹介されていました。 しかし、どっちの意見も家事ハラではありません。(これはただの夫婦喧嘩) 著者の提唱する本来の「家事ハラ」とは180度異なっています。 本来の家事ハラは「日本の社会全体が家事労働の担い手を無視・軽視している」という意味です。 対してマスコミのいう「家事ハラ」は家庭内の問題にとどまっています。 本書のように社会からの視点で家事労働を見ているメディアはほとんどありません。 今の日本では家事労働(家事・育児・介護)が主に母親のみに集中しています。 そのことが原因で、実は女性だけでなく男性、あらゆる世代の正社員・非正規社員にも生きづらさが蔓延しているー。 本書ではそれをわかりやすく描いています。 ただ、残念ながらこの問
以前(50年位前)はどのカメラ誌も御宿の海女さんの写真がありました、いつでも見れると思っている内、すっかり無くなってしまった、貴重な残存ネガから、甦った生活観あふれる、すばらしい写真集、作者でしか撮りえない、写真でしか、伝えられない貴重な一齣、一齣、生きる感動を頂きました、ありがとうございます。 中判カメラ、ローライフレックス(フイルム面積がライカ判の3.6倍)を駆使して岩瀬酒造社長の岩瀬禎之氏が家業は奥様にまかせ、春から秋まで海女さんを撮影された未発表のフイルムを最近、御子息が書斎にて発見され発行された写真集。 さりげないスナップから芸術性の高い作品まで、しかし宣伝用のポスターとは明らかに違う、被写体の方々の生命力が息づいている、中判ならではの克明な描写、自然なボケ、なにより被写体の方々の表情が力強く美しい(それを引き出すのは作者のお人柄です)、完璧な構図、長い時間見ていても飽きない、完
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