ジェネシス・P・オリッジ逝去――スロッビング・グリッスル、サイキックTVとしてタブーに挑み続けた、真の前衛アーティストを偲んで ジェネシス・P・オリッジが死んだ。長年患っていた白血病による病死と伝えられる。ジェネシスこそは、真の前衛アーティストだった。 いかなる意味でも商業主義とは相容れないアンダーグラウンドの極北。大量殺人、オカルト、悪魔崇拝、ナチズム、身体改造、同性愛、性転換、ドラッグ、密教といったタブーに挑み、世間の常識や規範、価値観、モラル、倫理に徹底して抗戦してみせた。パフォーマンス・アート集団「クーム・トランスミッションズ」に始まり、スロッビング・グリッスル(TG)〜サイキックTVとして、足かけ45年以上活動を続けたジェネシスを貫いてきた行動原理は、既存の伝統的な音楽形態や硬直した保守的アート・フォーム、権威を振りかざすハイ・カルチャーを否定的に乗り越え新しい秩序を打ち立てるこ