第2部「マルチ商法のわな 被害者から学ぶ対処」① 軽い気持ちだった――。東京都内の30代男性は、「事業家集団」の構成員として活動した2年間を振り返った。足を踏み入れる前、疑う気持ちはあったものの、「おかしいと感じたら、いつでも抜け出せばいい」とも思った。この判断は誤っていた。「授業料」と割りきるには高すぎる代償となった。 学生時代の友人から、経営セミナーに誘われたのがきっかけだった。セミナーでは、自らの夢や年収を定め、一緒にがんばる「仲間」を作ることを勧められた。登壇者は「勧誘」という言葉は使わず、「友達作り」と表現し、駅前など街中で声かけをして活動の輪を広げることが重要だと説いた。マイクを手に、息継ぎも忘れて「友達作り」の魅力を訴える参加者。発言のたびに歓声や拍手が上がった。 セミナーでは、経営の「師匠」の下、50人の友達を作ると自分も店舗オーナーになることができ、年収が飛躍的に上がると
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