2. ゲーデルの不完全性定理 人間は、どこまで”知る”ことができるのだろうか? B・ラッセルによると、歴史上の哲学者たちの主張する、この”認識論”の問題は、『理性主義』 と 『神秘主義』の2つに大別される。 カート・ゲーデルは、前者の理性主義の立場から 数理論理学という 思索の最も深いところを厳密に追及し、そのことによって かえって 不完全性定理による人間理性の限界が明らかにされた。しかし彼自身は、(実在論者アインシュタインの影響もあって(*)) 生涯、”合理主義的”な(= 不完全性定理と矛盾した)世界観を持っていた。(この間違った信念に固執することは、結局、ゲーデル自身を精神的破滅へ追いやった。) (1) ゲーデルの不完全性定理: ”言葉”や”数学”の論理的骨子は記号化してすべて厳密に扱うことができる。 述語論理とは、古典的な”命題論理”を拡張して、主語・述語にある量化された命