東京電力福島第1原子力発電所事故に伴う出荷停止が続き、捕獲したイノシシの行き場がなく、相馬市では冷凍庫に入れて一時保管してしのいでいる。捕獲しても処分先がないためだ。狩猟税などコストも掛かることから狩猟者が減り、イノシシの生息数や生息域は広がり鳥獣被害は増加、狩猟者の負担は重くなるばかり。現場からは「この先、狩猟は続けられるのか。見通せない」などと切実な声が上がっている。 冷凍庫を開けると、200頭以上のイノシシの死体がぎっしり詰め込まれていた。埋設地も焼却先もない。処分できないイノシシの山がそこにあった。事故前までは、肉を自家消費したり地域で販売したりしてきたイノシシだが、捕獲しても出口がない状況が続いている。 相馬市の山で狩猟を終えた荒一信さん(67)は、黙々と捕獲したイノシシを冷凍庫に入れる。「いくら捕獲しても食えないし、処分先もないから報われない。狩猟をやめていく人の気持ちも分