私事で恐縮だが、筆者はこの夏に就職活動を経験し、それを通じて自分が「東大生」であるということを良くも悪くも再認識した。やはり日本はいまでも学歴社会なのだなと感じさせられた。広田淳一さんは東大出身だが、四年生の時に中退し、演劇を職業とすることを決めた。在学中に「ひょっとこ乱舞」を旗揚げ、主宰し、以降2011年に「アマヤドリ」と改称してからも全作品で脚本・演出を担当している。今回は、「東大」という学歴を捨て劇作家の道を歩むようになった経緯や、今後をどのように考えているかといったことについて伺った。 ――劇はいつから? 大学からだね。でも、入学当初はバンドサークルに入ったんだよ。どこだっけ、あの……音感だ!音感に入って新入生歓迎ライブてのをやって、洋楽のコピーとかやってた。 それで、これはちょっと違うなあって思って辞めちゃって、それから演劇に……。音感に可愛い娘がいたんで辞める時は迷ったんだけど