時間がたてば記憶は風化し、たとえ自分の書いた文章であっても、字面以外の周辺情報は肉が朽ち果てるかのように消え失せてしまいますから、後に残った白骨テキストだけを見て、それが“生きていた”時の様子を再現できるようにしておく必要があるわけです。 ルール化すれば、次の3つです(実際にこれらのルールを意識してはいませんが、どれも無意識に実践しているところではあります)。 1.「今の自分」にしか分からない言葉は一般語に置き換えること 2.分かりきったコンテクストでも書いておくこと 3.なるべくメタファーを使うこと 今回は2と3について。 2.分かりきったコンテクストでも書いておくこと 何か文章を書こうとする時、そこには必ずコンテクストが生まれます。自明の場合もあれば、読み手にゆだねられる場合もあります。問題は、内容の解釈がコンテクストによって著しく左右される場合です。 例えば、描写される対象に複数の立