「水素水」と表示された商品が小売店やネットで数多く見られるようになってきた。医薬品ではないため、効果・効能を表示することはできず、作用も詳しくは解明されていない。科学的に見て、何がどこまで分かったかを知っておきたい。 ●世界で研究進む 水素は無味無臭のガス。フランスでは以前からダイバーが潜水病の予防にも吸引していたが、作用はよく分かっていなかった。太田成男(しげお)・日本医科大大学院教授(細胞生物学)が2007年、培養細胞の実験で水素が有害な活性酸素を効率よく除去することを解明し、「ネイチャー・メディシン」(電子版)に発表した。ラットの脳の血流を一時的に止めて、再び血流を再開させると活性酸素が発生するが、そのときに水素ガスを吸わせると脳の障害が抑えられることを示した。 活性酸素は細胞や遺伝子を傷つけ、動脈硬化などの引き金になる。この実験が世界から注目され、以後、日本、中国、米国などで本格的