2011年の東日本大震災に伴う原子力発電所の事故によって、放射線による被害の懸念が現在も続いています。とくに注目されているのが、被ばくにより甲状腺がんの有病者がどうなっていくのかということです。しかし、独立行政法人国立病院機構北海道がんセンター名誉院長の西尾正道先生によれば、事故前と事故後の甲状腺がんの有病率は現状では変化していないとのことです。西尾先生に詳細をお伺いしました。 甲状腺と放射線 がんの進行速度はがんの種類によって異なります。約1カ月で1個が2個に細胞分裂する、スピードの早いがんもあれば、3カ月程度で細胞分裂する比較的緩慢なスピードのがんもあります。そして1㎝大の塊は約10億個の細胞数で形成され、重さは1gです。10億個に増えるには全てのがん細胞が分裂したとしても30回(230)の分裂が必要となるため、発見できるサイズのがんになるには数年~10年程度かかります。 福島原発事故