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ブックマーク / mandanatsusin.cocolog-nifty.com (11)

  • 混沌たる『あしたのジョー』 - 漫棚通信ブログ版

    『あしたのジョー』実写映画化の影響か、関連書籍(なのかな?)が発売されてます。 ●「文藝別冊 ちばてつや 漫画家生活55周年記念号」(2011年河出書房新社、1200円+税、amazon) ●梶原一騎『劇画一代 梶原一騎自伝』(2011年小学館クリエイティブ、1600円+税、amazon) 前者はご存じ文藝別冊のKAWADE夢ムック。これがそうとうに良いデキで(というかちばてつやファンなので単純にうれしい)、全作品リスト、作品解説、ロングインタビュー、などなど。ちばてつやが15歳のときに描いた習作がそうとうにすごい。洋館の吹き抜け二階から一階を見おろした構図なんか、さすが双葉より芳しですな。 この見てますと、ちばてつやの少女マンガとか、いっぱい読み直したくなります。 後者は1979年に毎日新聞社から刊行されたものの復刊。今回は日暮修一の挿絵がなくなってますが、そのかわりに自筆原稿を写真撮

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  • アニメ対ジャパニメーション - 漫棚通信ブログ版

    先日ツイッターで、ある日アニメーション関係者の主張を読みました。 彼によると、 ジャパニメーションの語源は「放映権はおろか編集権まで売り払った」マクロスやオーガス等のアニメを米国がメチャクチャに編集し台詞も変えたモノを観た日語の解る日のアニメ好き米国ファンが「コレは僕達が知ってるアニメじゃ無い「ジャパニメーション」だ」です ジャパニメーションは米国発祥の「差別語」です 語源は差別語だし、ソレを尊敬語と誤訳して日中にばら撒いたのも「単なる無知」でしょう? このかたは「ジャパニメーション」という言葉が、もともと差別語として発祥したという主張をされています。 ただしその根拠については言及されていません。そこが残念なのですが、かつて彼に似た主張をしていたひとに岡田斗司夫がいます。 ●岡田斗司夫「日文化としてのアニメ」(キネマ旬報1995年10月上旬号掲載) リンク先の文章によりますと、

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  • 悪意から狂気へ『ヒメアノ~ル』: 漫棚通信ブログ版

    古谷実『ヒメアノ~ル』が6巻(2010年講談社、533円+税、amazon)で完結。 最近の古谷実作品のタイトルは、それぞれ作品内容と深く関わっています。たとえば『ヒミズ』とはモグラに似た地中の小型哺乳類です。 『シガテラ』とはシガテラトキシンという毒を持つ熱帯魚。フグと同じように、もともと自分が毒を持っているのではなく、プランクトンをたべることでその毒を自身のカラダに蓄積していきます。このマンガでは、ある人間の持つ毒=悪意が他の人間に「感染」していくことを暗示してるわけです。 『わにとかげぎす』は作品内にも姿が登場する深海魚。この寓意はわかりやすくて、深海魚のような情けない生活を送ってる男が、日常的な幸せに向けてゆっくりと浮上していく話です。 ただし『ヒメアノ~ル』というタイトルはちょっとわかりにくかった。「アノール」とはトカゲのことです。となると「ヒメアノール」は「ヒメトカゲ」のことで

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  • 『ジャングル大帝』と白いライオンの謎 - 漫棚通信ブログ版

    手塚治虫は、自作が刊行されるたびに追加執筆と再編集をくりかえしていました。そのため発表当時とはまったく違った形でしか読めなくなった作品も多くあります。 その最たる作品が『ジャングル大帝』です。現在流通している講談社全集版は、原稿の一部紛失のためトレスしたり、幼年向けに描きなおしたりしたものを含めて、エピソードの順番などを変えて再編集したもの。このためコマごとに新しい絵と古い絵が交互に登場するという、そうとうに珍妙な作品になってて、わたしなどはたいへん不満でした。 わたしがくりかえし読んだのは、1969年発行の小学館ゴールデンコミックス版です。総合的に幼年向けになってる講談社全集版より、こっちのほうがよほどましなんですよ。 そういう状況で『漫画少年版ジャングル大帝』(2009年小学館クリエイティブ、7600円+税、amazon)が刊行されたわけです。 講談社全集版とはまったくの別物です。これ

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  • 『ザワさん』が気になる - 漫棚通信ブログ版

    西東京の高校野球部(強豪)に属する唯一の女子一年生、都澤さん(通称「ザワ」)。彼女の日常を描いたマンガ。 ●三島衛里子『高校球児 ザワさん』1・2巻(2009年小学館、各524円+税、amazon、bk1) ザワさんは背が高くてスタイル良くてちょっと美人。ですから同級のチームメイトは彼女を意識しまくっているのですが。 ザワさん自身は野球にしか興味がない。どこまでも野球中心の生活。下校中、傘でバッティングフォームをチェックする。掃除中、ホウキでバッティングフォームをチェックする。腹筋のキレ具合を気にする。正月早々ガッツリ走り込み。プロテインマニア。授業中はひたすら寝ている。 というわけで作は、ザワさんを意識しまくる同級生たちと、それにまったく気づかないザワさんの、すれちがいというか、むずがゆいというか、そういう日常を描くマンガです。 彼女はいわゆる「紅一点」です。日製フィクション内におけ

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  • 酒井法子とは何だったのか - 漫棚通信ブログ版

    それにしてもNHKの19時のニュースでトップてのはどうなんだ。 一連の事件がどういう結末になるか、だれも知らない時点でもうしわけないのですが、「マンガ的には」酒井のりピーとは何だったのか。 酒井法子の顔、とくにその目がすべて。彼女の目は大きすぎず小さすぎず、まさに微妙なバランスで形成されています。 酒井法子が登場するまでは、日アイドルの目は大きければ大きいほど良いと考えられていました。また日マンガの女性キャラも、ひたすら大きい目をめざしていたのです。 ところが。酒井法子が登場し、その目を見たとき、日人はアジア人として理想の目の大きさを発見したのではないか。 彼女の目のバランスをマンガ化したのは、桂正和。彼が描くすべてのヒロインが、酒井法子です。 1990年代以後、酒井法子が香港、台湾中国で人気になったのも、彼女の顔の造作のためでしょう。わたしは、台湾イラストレーター、陳淑芬/平

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  • マンガはSFに限る『戦後SFマンガ史』 - 漫棚通信ブログ版

    米沢嘉博による“戦後マンガ史三部作”というのがあります。 『戦後少女マンガ史』(1980年新評社)、『戦後SFマンガ史』(1980年新評社)、『戦後ギャグマンガ史』(1981年新評社)。発行日を見ますと、一年半のあいだにこの三冊、イッキに出版されています。 このうち『戦後少女マンガ史』が昨年文庫化されたのに続いて、『戦後SFマンガ史』も文庫になりました。 ●米沢嘉博『戦後少女マンガ史』(2007年ちくま文庫、880円+税、amazon、bk1) ●米沢嘉博『戦後SFマンガ史』(2008年ちくま文庫、900円+税、amazon、bk1) 『戦後少女マンガ史』のほうは、少女マンガを初めてきちんと整理して記述した、まさに名著ですので、米沢嘉博構成の『別冊太陽子どもの昭和史 少女マンガの世界』1・2とあわせて、よく参照させてもらってます。 でも『戦後SFマンガ史』はすっごく昔に読んだことがあるだけ

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  • 君の知らないメロディ - 漫棚通信ブログ版

    「君の知らないメロディ、聞いたことのないヒット曲」を探して、いろんなマンガを読み続けておりますと、グローバルマンガというかワールドマンガというかインターナショナルマンガというか、「海外作家による海外読者向けの、日マンガスタイルで描かれたマンガ」も視野に入ってきます。 それにしても面倒な言い方ですねえ。「英語で!アニメ・マンガ」の椎名ゆかり氏によりますと、北米には「英語圏で製作され出版されたオリジナルのマンガ」=「Original English Language Manga」=「OEL」、「OEL manga」 という表記もあるそうです。椎名氏は「北米産マンガ」とか「日産マンガ」という表現を使われてますが、これがあっさりしてていいかもしれない。 最近、北米産マンガとヨーロッパ産マンガがいくつか邦訳出版されました。 ●スヴェトラナ・シマコヴァ『ドラマコン』1巻(藤沢マサオ訳、2009年ソ

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  • グレムリンの誕生 - 漫棚通信ブログ版

    マンガの話じゃありません。 グレムリンと言えば、ジョー・ダンテの狂騒的な映画「グレムリン」(1984年)がよく知られてます。この映画、クリスマス映画でもありましたから、オープニングからフィル・スペクター/ダーレン・ラヴの「クリスマス/ベイビー・プリーズ・カム・ホーム」が流れて楽しい気分が盛り上がるんですよねー。 あの映画で描かれたモグワイは毛むくじゃらのカワイイ怪物。どうも中国出身らしい。飼ってる人間がタブーを犯すとモグワイが凶悪な子供グレムリンを生み出すという設定で、来のグレムリンとは別物です。 じゃもともと、グレムリンとはどんなヤツだったのでしょう。 辞書などによるとグレムリン「gremlin」は「飛行機に故障を起こさせると言われる小鬼」であり、「もっとも新参の妖精。第二次世界大戦中の原因不明の飛行機事故は、すべてそのせいにされた」。 ジョー・ダンテも参加してたスピルバーグ製作のオム

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  • 手塚治虫の「かわいい」論 - 漫棚通信ブログ版

    今、日は「かわいい」ものに支配されています。映画「ポニョ」がヒットしているのは、ジブリのブランド力もさるものながら、あの主題歌、ポニョという名前、そしてポニョの造形と、こちらのカワイイ心を刺激するものがそろっているから。 奈良のマスコットキャラ「せんとくん」があれほど非難されたのも、わたしたちが考える「かわいい」の基準に合わなかったからです。 「エロ」という何やらどろどろしてたはずのものも、すでに美少女系というかわいいものが席巻しています。一般のマンガにおいても、かわいくなければマンガじゃないと言わんばかり。 ですから、かわいくない系のマンガ、劇画やオルタナティブやアメコミは、今はずいぶん苦戦してますね。 さて、どういうものが「かわいい」のか、体系化、標準化することは可能でしょうか。「ひこにゃん」のどこがかわいくて、「せんとくん」のどこがかわいくないのか、これを言葉で説明するのはなかなか

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  • 携帯マンガは救世主となるか - 漫棚通信ブログ版

    京都精華大学が発行している雑誌「KINO 」7号(2008年京都精華大学情報館/河出書房新社、1143円+税、amazon、bk1)読みました。 特集タイトルが、なんとも挑発的。 ●21世紀のマンガ コミック雑誌の消滅する日 ちょうど今、マンガ雑誌におけるマンガ家編集者関係のきしみが噴出し始め、日マンガのビジネスモデルが再検討されてる時期ですから、タイムリーですねえ。 この号の巻頭には、樹林伸(亜樹直、天樹征丸)×長崎尚志による編集者兼原作者対談とか、竹熊健太郎×中野晴行によるマンガ雑誌の将来は? についての対談とか興味深い記事も載ってますし、「21世紀のマンガ・ベスト60」というブックガイド企画もあるのですが、雑誌としての主張は、実は最後のほうでなされています。 編集長・熊田正史(もと小学館編集者、京都精華大学教授、マンガ学部マンガプロデュース学科長)による、「21世紀のマンガ研究 つ

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