突然のことで驚かせてしまうかもしれないが、愛犬ハリーが亡くなった。 今年2月に癌が発覚した時点ですでに末期で、手の施しようもなく、余命はわずかだろうと獣医師には言われた。ハリーはその状態でも、食べ、歩き、走り、琵琶湖に飛び込み、枝を拾っていた。そこまで体重を落とすこともなく、ピカピカで立派な姿のまま旅立っていった。7歳だった。 実は、ハリーはこれが初めての闘病ではなかった。二度目だ。前足に悪性腫瘍が見つかったのは、わずか4歳のとき。手術をして、なんとか切り抜けたと思ってはいたものの、4歳という若さでの罹患、そして大型犬であるということを考えると、気をつけなければいけないだろうと考えていた。手術後も、体の表面にいくつも腫瘍ができた。すべて良性だったが、細胞診は何度もやった。そんなこんなで、ハリーはずいぶん動物病院にはお世話になった犬だった。 人好きで、明るくて、なにより泳ぐのが好き。気のいい
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