今年の自然科学分野のノーベル賞は大村智氏(80)が医学・生理学賞、梶田隆章氏(56)が物理学賞に輝き、今世紀に入って日本の栄誉は15人に達した。ただ、多くは数十年前の業績が評価されたもので、受賞ラッシュが日本の科学技術力の現状を反映しているとは言い難い。成果主義の影響などで受賞者数は先細りに転じると懸念する声もある。 今世紀の自然科学分野のノーベル賞は、米国の55人に次いで日本が世界2位を占める。政府は平成13(2001)年に「今後50年間で30人程度の受賞者を輩出する」との目標を掲げたが、15年で半分を達成したことになり、かなりのハイペースといえる。 文部科学省で目標策定に関わった有本建男政策研究大学院大教授は「日本は20~30年前から多様な分野に数万件もの研究資金を援助して裾野を広げ、研究者を育ててきた。その成果だ」と説明する。 基礎から応用まで幅広く育成が行われた結果、「日本にはノー