以下の記事に接した。 せめて「差別ではあるよね」で合意できないのか 「女性専用車両を設けることに賛成はするが、それが差別だと認めろ」という主張だ。大きな反響を呼んでいるが、これから述べる点をもう少し意識すれば、理解が容易になるのではないかと思う。あまり実りのある話題でもないように思うので、簡潔にまとめたい。 女性専用車両を設けることが差別でないとする理由は、ほぼ「差別は悪いものだから」ということに尽きるものと思われる。より分かりやすく述べるならば、「差別」という語は、「不当である」という否定的価値判断を含むものであるから、不当ではない女性専用車両の設置を差別とは言わない、ということだ。そして、このような「差別」という語についての理解は、一般的であり、正しくもある。例えば、デジタル大辞泉は、「差別」について以下のように説明する*1。 (略) 取り扱いに差をつけること。特に、他よりも不当に低く