ポチェッティーノ監督(左)との求めるサッカー観の違い、それが中村が活躍できなかった一番の理由だ【Getty Images】 2月27日、バルセロナ国際空港――。 エール・フランスのチェックインカウンターで搭乗手続きを済ませた中村俊輔が、ゆっくりと出発ゲートへと歩いていく。前夜まであわたただしく自宅の荷物を整理した。大きなスーツケースが3つ。スペインで生活した7カ月間の荷物は、予想以上にかさばった。ゲートへと歩きながら、「8年間のヨーロッパでのプレーを終えての帰国だけど」と聞くと、彼は「また新しい挑戦がはじまるという感じ」と言って、軽く握手をすると、出発ゲートの中へと消えていった。 しばらくの間、中村の移籍についてあれこれ大々的に報道していた地元メディアもこの日は空港に駆けつけず、特に大きな喧騒(けんそう)もない。それは想像していたよりもずっと静かな出発だった。 横浜F・マリノスへの移