はじめに-矢田部良吉とはどんな人物だったのか 矢田部良吉(やたべりょうきち)は、明治時代に活躍した植物学者であり、詩人です。青年期にアメリカへ留学したということもあり、西洋の影響を強く受けていた良吉。東京大学理学部の初代教授を務め、近代植物学の発展に貢献しただけでなく、当時の教育制度にも大きな影響を与えました。 東大の教授を務めていた良吉は、植物を研究したいという夢を抱えて、高知から上京してきた牧野富太郎を快く迎え入れます。東大の植物学教室への出入りを許可し、富太郎の植物学者への道を切り開くことになるのです。 近代的で柔軟な思想の持ち主をイメージしてしまいますが、実際の矢田部良吉はどのような人物だったのでしょうか? 史実をベースにしながら、紐解いていきましょう。 連続テレビ小説第108作『らんまん』では、良吉をモデルにした東大教授の田邊彰久(演:要潤)が、植物学者を志す槙野万太郎(演:神木