No. 1 基礎配置について 1. 九大医学部の使命 私のような他大学から来た者の目から見ると、九大医学部の教育プログラムは大変独創的で素晴らしいプログラムであると常々感じております。その教育担当者による情熱溢れた企画力には陰ながら感服しておりました。 但し、これはあくまでも方法論の話であって、医学教育の本質的なこととなると九大ほど愚かな教育をしているところも珍しいのではないかと思います。と申しますのは、現在の九大医学部の教育は「医療者養成学校」のそれに堕しているからです。 医学は基礎理論探求と応用学問(=臨床)という2つの側面を持っており、当然前者は未来の医学の基礎となるべく、10~20年後の医学を模索して行われるもので、逆に後者は現在苦しんでいる人々に対して今までの知識の蓄積を基に医療サービスを施すのがその役目です。つまり基礎研究は「未来のための医学」、臨床は「現在のための医学」です。