(前回のストーリーはこちら) NECの文豪をひっぱり出して、俺は小説を書いている。 小説の中で、俺は、俺は、自分の思い通りの人生を送ることができる。女・金にも苦労することもなく、六本木ヒルズの住居棟で、夜な夜なシャンパンを飲みながらアイドルたちと性交に励む…… しかし現実は…… 見上げると汚い天井があった。ここは六本木ヒルズのレジデンツではなく、東池袋のオケラ荘、家賃は3万8000円の風呂なし四畳半アパートだ。 そして、昨日上司から告げられたセリフが頭のなかを巡っている。 やはり俺はリストラ候補のようだ。会社に残るには契約社員になるか、大幅な給料ダウンか、2つにひとつ。 窓の外からは子供が遊んでいる声が聞こえる。 悪いことを考えても、状況は変わらない。それに「 安藤美冬のサバイバルキット」が届けば、俺の人生は好転する予定だ。 ああ、でも、キットが届くまで待っていることができない。そうだ、安