科学ジャーナルの成立 作者:アレックス・シザール 名古屋大学出版会 Amazon アレックス・シザール『科学ジャーナルの成立』柴田和宏訳、伊藤憲二解説(名古屋大学出版会、2024年)、115–153ページ。 科学ジャーナルの歴史についての研究書の邦訳が刊行されたので、その第3章「著者と査読者」を読む。 科学の発展に貢献したかどうかは、何よりも科学論文の執筆者(オーサー)であるかどうかによって判定される。このような考え方は当たり前に思えるかもしれない。しかし実際には、このような考え方が有力になったのは、ある特定の時期の特定の状況の中でのことであった。19世紀前半のイギリスでは、王立協会を改革しようとする動きがあった。改革を主導しようとした人々は、おおよそ次のように考えた。イギリスの王立協会は、フランスのアカデミーと違い、公的な援助を十分に受けられていない。これは、その有用性が十分に認知されて
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