僕は高校二年生まで、自分が理系であることを疑わずにいた。それは、父親がそうだからだったし、数学はそんなに得意ではないけれど、理科は苦手ではなかったし、少なくとも嫌いではなかったからだった。だから進路を選ぶときも、工学部や理学部なんかを調べたり見に行ったりしていた。だけどちっとも惹かれなかった。何にも興味を持てないし、当然進路に迷った。 そして気付く。自分は理系ではなかった。 受験勉強としての理科は面白いし興味を持てた。でもそれはゲームだからだった。科学的な原理にも関心はあったしなるほどすごいと思いながら授業を聞いていたけど、そこまでだった。その先に自分の興味はなかった。というよりもむしろ、その先には恐れがあった。 科学が無際限に発展していくことへの漠然とした恐れだった。 そんなのはバカで無知な若者の戯言だと自分で思う。なぜなら、科学のなんたるかを何も知らないからだ。 実際、iPS細胞ができ