──御園生理事長は触媒化学を専門にし、石油精製・石油化学の技術分野で、環境負荷評価の立場から環境問題にも長年かかわっていらっしゃいました。環境問題が大きくメディアに取り上げられるようになった現状をどうお考えでしょうか。 御園生誠理事長(以下敬称略): よいことだとは思いますが、最近の環境問題、特に地球温暖化問題に関する理解で心配になるのは、事実に基づかない議論があること、いつの間にか表面的な数値目標競争や排出権取引の是非の議論に話がすり替わってしまっていることです。多数派だと思う意見が、声の大きさから少数派にされてしまっていることを危惧しています。 ──先生が感じている“多数派”の意見とは、どのようなものなのでしょう。 御園生: 地球温暖化と言うけれども、多くの人は、目や肌で感じられる気温や海水面の上昇があるわけではなく、また、温暖化が原因とわかるはっきりした実害は出ていないことを知