【杉本崇、木村英昭】東京電力は30日、福島第一原発事故の対応を巡るやりとりを記録したテレビ会議の映像記録を報道記者に追加開示した。映像からは、高濃度放射能汚染水が海へ漏れ出す懸念が発電所から本店に伝えられていたにもかかわらず、本店側が打開策を示さず、約1週間後、海洋汚染を引き起こす過程が浮き彫りになった。 「なんかこう手をこまねいてさ。死を待ってるような感じがしてしょうがないんだけどさ」。2011年3月30日午後6時38分、福島第一原発の吉田昌郎所長は、こう本店に訴えた。 吉田所長はさらにこの1週間ほど前から、1〜4号機のタービン建屋に水位を測るカメラの設置を訴えていた。「水が一番大きい問題だっていうことで、ずっと言ってんだけど」 気にしていたのは、原子炉から漏れ出す、放射能に汚染された冷却水だった。建屋の地下に計約10万トンがたまっていて、3月27日には建屋と海の間の坑道に漏れてい