天皇陛下は「岳人」だ。幼い頃から登山に魅了され、これまでの山行回数は170回にも及ぶ。何時間もの忍耐の末に得られる爽快感や達成感。登山がもたらしてくれる多くのものは、陛下の人格形成に大きな影響をもたらしたに違いない。山で会う人々は「たまたまそこにいた人」であり、町で出迎える人々よりも「普通の国民」に近い。陛下が国内各地を巡り、国民との「親しみ」を身につける素地ともなった美しい山の世界を紹介したい。(共同通信社会部編集委員=大木賢一) 【陛下の峰々②】登山のピーク、20代の陛下 周囲も驚く圧倒的脚力 【陛下の峰々③】結婚後、増した親しみ 続けられるか、今後の登山 学習院初等科1年生の時、天皇陛下は学校の先生に「富士山が見えますよ」と言われ、友だちと一緒に校舎の屋上に上がられた。 国立競技場の照明塔近くに、富士山が雲のように白く浮かび上がっていた。それを見て心を弾ませた陛下は作文に「ぼく、あん