バットの芯で捉えた“いい角度”の打球が空中で失速し、フェンス手前で外野手のグラブに収まる――熱心なプロ野球ファンなら、今季どこかでそんなシーンを目撃した記憶があるのではないだろうか。 異例の事態「ホームランが消えている」 6月14日の試合を終えた時点で、セ・リーグの平均打率は.235、1球団あたりの1試合平均得点は3.02。同パ・リーグの平均打率は.240、平均得点は3.22と、近年まれに見る“投高打低”だった昨季をも下回る超低水準となっている。打率3割を超える打者はヤクルトのサンタナ(.319)、ソフトバンクの近藤健介(.341)、日本ハムの田宮裕涼(.335)と、セ・パを合わせて3名しかいない。 さらに深刻なのが「野球の華」とされるホームランの減少だ。過去半世紀の記録を遡ると、規定の反発係数(※打球の飛距離を左右するボールの跳ね返りやすさ)を満たしていない“違反球”が使用された2011