まだ負けたわけじゃない 斎藤氏は自分の会社を起こす一方で、外資系企業で働くことを選んだ。年収もソニー時代の水準に戻った。海外を飛び回る傍ら、いまは妻と息子たちとの時間を大事にしている。 私はソニーのリストラ部屋の人々や、リストラに巻き込まれた社員の素顔をソニー凋落の軌跡に重ねあわせて、2年7ヵ月前から取材し、月刊誌『FACTA』で18回にわたって連載した。その連載を加筆・再構成したのが、『切り捨てSONYリストラ部屋は何を奪ったか』(講談社)である。 広く知られていることだが、ソニーは創業者の井深大氏が「自由闊達なる理想工場」を目指し、もう一人の創業者である盛田昭夫氏が「ソニーはリストラをしな い」と国内外で宣言した企業である。その「理想工場」の夢と、リストラを19年('99年の経営機構改革から数えると17年)も続け、約8万人も削減したソニーの現実とは、あまりに開きがありすぎる。 しかも、
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