一口に中世の食事といっても中世は1000年近くあり、食べ物は時代、地方、階級によって異なるため、全てを説明しようとすると総花的になり、まとまりのないものになってしまう。 そこで、基本的なことを中心に簡単に述べてみよう。 現代では欧米の主食は牛肉や羊肉で、パンは添え物のようなものであるが、そうなったのは近世以降に肉の生産量が増えてからで、中世では穀物が主食だった。 穀物はグリュエル(薄い粥)、ポリッジ(オートミールのような粗い粥)、パンにし、特に中世初期の貧しい階級では、グリュエル、ポリッジが中心だった。グリュエルは後の時代には水で薄めた中身の少ない粥として貧乏人の食べ物とされることが多いが、中世では単に作り方の違いであり、穀物を細かい粉にして水で溶いて加熱したものがグリュエルで、粗い粒(時には潰して)で水で煮たのがポリッジである。これらが特に貧しい階級に好まれたのは、作るのに手間が掛からな