肺がん治療薬「イレッサ」の副作用被害を巡る訴訟で東京・大阪両地裁の和解勧告を拒否する方向で調整を進めている政府は25日、枝野幸男官房長官、細川律夫厚生労働相、江田五月法相ら関係閣僚が官邸で詰めの協議を行った。 終了後、江田法相は記者団に「謝罪と賠償には応じがたい」と述べ、国と製薬会社に和解金の支払いなどを求めた和解勧告の受け入れは困難との認識を示した。そのうえで「医薬品の副作用の救済制度は何か考えないといけない」と語り、抗がん剤で重い副作用が起きた場合の救済制度の創設に前向きな考えを示した。 一方、原告・弁護団は25日、細野豪志首相補佐官と面談し、和解勧告に応じるよう求める菅直人首相あての申し入れ書を提出した。原告代表の近沢昭雄さん(67)は「薬害エイズ事件の解決に大きな役割を果たした菅首相に政治決断を求めたい」と話した。【佐々木洋、山田夢留】