ポイント 免疫細胞の一種であるマスト細胞が皮膚や肺、腸管などの組織でそれぞれ異なる特性をもつ背景には線維芽細胞が関与していることがわかった。 皮膚では線維芽細胞によるビタミンAの代謝がマスト細胞の慢性的な活性化を抑制し、皮膚炎を未然に防いでいることをマウスで明らかにした。 線維芽細胞によるマスト細胞の性質の調節機構を紐解くことで、体のさまざまな組織で起こり得る慢性的な炎症やアレルギーに対する予防や治療法の開発につながると期待される。 アレルギーや炎症を引き起こす免疫細胞の一種にマスト細胞注1)と呼ばれる細胞が存在する。マスト細胞は、皮膚などの結合組織と肺や腸管などの粘膜組織とでは異なる性質をもつことが古くから知られていた。しかし、その特性が組織ごとに異なることの意味やそれぞれの特性がどのようなメカニズムによって調節されているかは不明であった。 東京大学 医科学研究所の倉島 洋介 助教、清野