【研究の概要】 トリチウム水は、水と化学的性質がよく似ていることから、従来の除染技術では、汚染水から水とトリチウム水を分離することは困難とされていました。井原ら研究チームは、炭やスポンジのように多量の小さな穴を持つ構造「多孔質体」と、ストローのような細い管を液体につけた際に、液体が管の中を上がっていく現象「毛管凝縮」に着目し、この現象を除染技術に応用するため研究を進めてきました。 完成した多孔質体は、直径5nm(ナノメートル)以下の大きさの微細な穴「細孔」を有し、毛管凝縮によって細孔内に水とトリチウム水を取り込んだ後、トリチウム水を細孔内に保持したまま、水だけを放出する機能があります。この多孔質体を格納した装置(フィルター)によって、汚染水からトリチウム水を高効率に分離することができます。 また、多孔質体を加熱することで、細孔内に残ったトリチウム水を放出し回収することができます。装置は繰り