宗教対立に絡んだ紛争が多発し,原理主義が活発化する現在,政治と宗教をめぐる問題をどう捉えるか.スピノザを軸にホッブズ,マルクス,レオ・シュトラウスらをたどりながら,「リベラル・デモクラシーの政治体制」と「啓示による政治体制」との接合を探ってきた思想の系譜を明らかにする.本年2月に急逝した著者の遺作. はじめに 第I部 リベラル・デモクラシーに内在する宗教の問題 第一章 グローバルなリベラル・デモクラシーとヴァイマールの亡霊 ――現代アメリカにおけるレオ・シュトラウスの浮上は何を物語るのか? 第二章 同化主義とシオニズムのはざま――レオ・シュトラウスとスピノザの背反と交錯 第II部 近世・近代における政治・理性・啓示の関係 第三章 西欧近世における開放的共存の思考様式――スピノザにおける神権政治と民主政 第四章 古典主義時代における歴史の概念と政治神学 ――聖書解釈におけるホッブズとスピノザ