堤未果さんの『ルポ貧困大国アメリカ』が永六輔氏の『大往生』以来のベストセラー(岩波新書の)らしい。 ちょうど小林多喜二の『蟹工船』のヒットが話題にのぼっていますが、堤さんのこの著書が売り上げを伸ばしているのも、同じ事情によるでしょう。 つまり、現代の貧困は、大企業・財界の最大限の利益確保を追求せんがための身勝手な雇用政策にみられるような、労働者を使い捨て状態に置くことによってもたらされてきたと考える私は、まさに使い捨てられ、小林の叙述がいま、直に起きている事象と重なり合って、貧困に直面する働く者にとっては、小説の中の登場人物に自らを置き換えることによって共感を呼んでいると思うのです。同じように、堤さんのルポも、そこに記されているアメリカの現状が、読者の、身の回りの事情とうり二つであること、少なくとも相似であることを示しているでしょう。制度的に様々な面で切り捨てられてきた結果、たとえば国民皆