世界最高峰の映画界の祭典、米アカデミー賞が今年も決まった。各賞の選定により、さまざまな作品やそのストーリーに焦点が当たり、世界各国で批評家の論議や、受賞作品から影響を受けた社会現象が今年も展開されていく。 今から6年前、日本へのバッシングの契機となる作品がスポットライトを浴びた。 「ザ・コーヴ」の主人公和歌山県太地町(たいじちょう)で行われている追い込みイルカ漁を、ハリウッド仕込みの特撮機材で隠し撮りし、批判した「ザ・コーヴ」(ルイ・シホヨス監督)。2010年の第82回アカデミー賞で、長編ドキュメンタリー映画賞を受賞した作品である。 劇場公開後、各シーンの編集トリックや事実誤認、取材不足が露呈し、事実を伝えるドキュメンタリー作品としての価値に大きな疑問符がつく事態になった。しかし、この映画は、日本のイルカ漁は野蛮で非人道的で、21世紀にはそぐわない非文明的な営みであるというイメージを国際社