内田 周作、渡邉 義文 山口大学 大学院 医学系研究科 DOI:10.14931/bsd.1408 原稿受付日:2012年5月9日 原稿完成日:2012年6月6日 担当編集委員:加藤 忠史(独立行政法人理化学研究所 脳科学総合研究センター) ストレスとは、元来、環境の変動に対する生体の適応的な反応のことを示す。ストレスの原因はストレッサーと呼ばれ、生体はストレッサーに応じて種々の反応(ストレス反応)を引き起こす。なお、日常語では、ストレッサーのことをストレスと言うことも多い。ストレスには生体にとって有益な快ストレスと不利益な不快ストレスの2種類がある。ヒトが通常の生活を送るためには、これらのストレスが適度なバランスを保って生体の恒常性を維持する必要がある。しかし近年のストレス社会を背景に、過度なストレス負荷によって脳機能のバランスが失われてしまう場合がある。ストレスレベルがある閾値を超えて