原子力発電の燃料になるウランは全量を海外に頼る。一部でも“国産化”できないか、と考えたのが海水からウランを集める方法。技術的に可能で、最大の課題のコストも大幅に削減できることが最近の研究で分かった。 四方を海に囲まれた日本。海水にはウランやチタン、バナジウムなど有用希少金属を含め七十七の元素が溶け込んでいる。 このうちウランは、海水一トン中に三・三ミリグラム。全世界の海水には鉱山ウランの推定可採埋蔵量の一千倍、約四十五億トンが溶存する、とされる。黒潮で日本に運ばれるウランは年間五百二十万トンあると推定され、0・2%程度回収するだけで国内原発の年間需要量約八千トンをまかなえる。 「宝の海」からウランをつかまえてくる研究は、一九六〇年代に英国で始まった。当時は、海水をポンプでくみ上げ、ウランを捕集する方法だったため、ポンプ動力の電気代や設備費が膨大。日本でも試みたが、コスト高で実用化できなかっ