人口2,000万人強のスリランカが現在、経済危機に瀕している。直接の契機は、新型コロナ禍で外国人観光客の来訪が止まったことにある。しかし、問題の根幹には、長年続く赤字体質の国家財政、貿易構造に由来する貿易収支赤字がある。これらマクロ経済の構造上の問題は、長年放置されてきた。それが表面化した結果といえる。 スリランカ経済が持ち直すには外部からの支援が必要ながら、それは地政学的な環境変化にもつながる可能性がある。 生命線の観光業が大打撃 スリランカ経済は、2021年は3.7%成長と、前年の3.6%減から回復の動きをみせた(2022年4月8日付ビジネス短信参照)。新型コロナウイルス感染拡大の影響によって、2020年の成長率は2001年以来のマイナス成長と大幅に落ち込んでいた。その反動増に加えて、経済活動の正常化やワクチン接種の進展が回復に寄与した。2021年の成長率は、新型コロナ前の2015年か
経済危機に直面し、首相が国の「破産」を宣言したスリランカ。強烈なインフレに民衆の暴動は激化し、ゴタバヤ・ラジャパクサ大統領は国外に脱出した。混乱を招いた最大の要因は農業の崩壊だ。根本にあるのは、過剰なまでに環境に配慮した「良い」国家を目指したことにある。ESG(環境・社会・企業統治)スコアを上げようと努力し、温暖化ガス排出ゼロを目標に掲げることは果たして正しいのか。 経済崩壊導いた有機農業の強行 スリランカは大規模な貧困、インフレ、燃料不足に見舞われ、首相は、国が「破産」したと宣言した。10万人規模のデモが起きて大統領府になだれ込んだ。ゴタバヤ・ラジャパクサ大統領はモルディブに逃亡したのち、辞任を表明した。 スリランカのインフレ率は6月に54.6%となっていた。5月以降だけで、食品価格は80%、交通機関の料金は128%上昇した。 日本ではこの破綻の原因として「中国の債務の罠に嵌った」とする
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