『べしゃり暮らし』という漫画がある。 『ROOKIES』や『ろくでなしBLUES』を描いた森田まさのり先生の作品だ。 『べしゃり暮らし』のテーマは「お笑い」で、主人公の上妻圭右(あがつま けいすけ)は漫才の祭典、「NMC」に挑んでいる。 NMCは「日本漫才コンテスト」の略だったか。 僕たちの世界で言う「M-1グランプリ」である。 圭右は現在、「NMC」の決勝トーナメントまで勝ち進んだのだが、準決勝の直前まで事故で記憶を失っていた。 記憶を失っていたことは秘密にしていたのだが、NMCの出演者の紹介コーナーで、「お涙頂戴エピソード」として記憶喪失の件を放送されてしまったのだ。 記憶を失って、逆境から這い上がるストーリーは美談に見えるが、「笑い」にとっては不要な要素である。 悲惨な事故を知ってしまうと、客は無意識に笑う事に罪悪感を覚えてしまうからだ。 「客に気を遣わせる笑い」など漫才ではない。
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