世界の名字・名前事情を踏まえ、名字と名前に使われる漢字のおもしろさに迫っていく本連載。第9回ではコンピュータ時代の到来を受け、さまざまな企業・個人がデータを使って算出した名字ランキングの軌跡をたどる。 前回示した佐久間ランキングは、名字の研究に一時代を築いた佐久間英が家族ぐるみで作成した手作りの成果である。佐久間は、「お名前博士(はかせ)」として知られたが、学位は医学博士(はくし)であり、都内で開業する歯科医だった。名字そのものを専門として研究する者は、学者であっても、アカデミズムには身の置き所がなかなかない状況は、今も昔も変わりはないのである。 ともあれ、その公開を契機として、生命保険会社各社が、自社の顧客データから、上位の大姓(数が多い姓)について同様の集計を、こぞって公表するようになっていく。姓名は生命(保険会社)という世の風潮を生み出す起爆剤となった点でも、佐久間はエポックメイキン