茨城でトラクターの無免許運転をしたとして現行犯逮捕された男が、右手に手錠をかけられた瞬間、警察官を振り払い、猛ダッシュで逃げた。2日後に警察に出頭し、再び逮捕されたが、衣服を変え、手錠も外されていた。 逮捕は対象外 しかし、男を刑法の逃走罪に問うことはできない。「裁判の執行により拘禁された既決又は未決の者」が対象だからだ。前者は懲役受刑者が、後者は裁判所の勾留決定に基づいて勾留されている者がその典型だ。 逮捕状による逮捕はこれに当たらないし、現行犯逮捕も対象外だ。したがって、たとえ逮捕されて手錠をかけられた後、逃げたとしても、逃走罪は成立しない。 保釈中や勾留執行停止中に行方をくらませても逃走罪が成立しないのと同じ理屈だ。 手錠を壊したら? では、もし手錠を壊していたとしたらどうか。この点、刑法には、最高刑が懲役1年の逃走罪を厳罰化し、懲役5年まで科せるようにした加重逃走罪がある。 刑務所