9月に上映が開始された、クリストファー・ノーラン監督の最新作「TENET」。 物語の「検証」のために「テネる」(映画をリピートする)人が続出した。 以下、ネタバレを交えながら、書籍『時間とはなんだろう』の著者、物理学者の慶應義塾大学・松浦壮教授とともに、「時間」の謎について、5つのポイントで考えていこう。 1. 本来、時間には「方向がない」!? TENETのストーリーが難解と言われる原因の一つは、作中で「時の流れが正常な世界」と「時の流れが逆転(時間逆行)した世界」が混在していることによって生じる、ストーリーの複雑さにある。 作中で描かれる、後ろ向きに進む車や人、拳銃の弾倉に戻っていく弾丸(逆行弾)など、時間逆行した世界の描写は、私たちに摩訶不思議な体験を与えてくれる。その先にあるのは、「時間とは何か?」という深淵な問いだ。 「TENETはタイムマシン物ではなく、『時間逆行』なんですよね。
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