◇背景に自己承認の要求 代替医療として知られる「ホメオパシー」にまつわる事件が、このところ立て続けに起きている。 そもそもの発端は、本年5月に、ホメオパシー治療で乳児が死亡した事件の訴訟が山口地裁で起こされたことだった。助産師のアドバイスで一般に使用されるビタミンKを乳児に投与せず、ホメオパシーのレメディー(砂糖玉)のみ投与したため、乳児がビタミンK欠乏性出血症で死亡したというものだ。 このほかにも、やはり本年、東京都国立市に住む40代の女性が、進行した悪性リンパ腫の治療をホメオパス(施術者)にゆだねて病院を受診せず、そのまま死亡するという事件もあった。 これらの事件をきっかけとして、まずネット上でホメオパシーへの批判や告発が急速に広がり、マスコミでも次第にその危険性が報道されるようになった。 ホメオパシーとは、約200年前にドイツの医師ハーネマンによって創始された治療法である。ある症状を
岐阜大学大学院に在学中に担当教員の講師から暴言などの「アカデミックハラスメント」を受けたとして、留学生だった中国人女性(30)が指導教員と同大に対し、損害賠償など計928万円を訴えた裁判の判決が16日、岐阜地裁であった。内田計一裁判長は「講師の行為により、精神的苦痛を被った」と訴えを一部認め、110万円の支払いを命じた。 女性は04~07年まで同大大学院地域科学科の修士課程に在籍していた。訴状によると、担当だった40代の男性講師は女性に休学するよう求め、女性が拒否すると暴言を吐き、修士論文を不合格とした。女性は指導教員の変更を大学に求めたが、「大学は必要な措置を取らなかった」として、07年に提訴した。 判決は、講師は学力不足を理由に女性に執拗(しつよう)に休学を勧め、「従わない場合、退学すらも自由にできない」と女性の不安感をあおり、「社会のくず」などと暴言を吐いたと認め、「社会通念上相当性
◇透明なシステムへの努力 日本ではほとんど報道されなかったが、先月イギリスで、ある連続殺人事件の記事がメディアをにぎわせた。事件そのものは5年以上も前で、犯人も逮捕されている。そんな古い事件が、なぜ今になって注目されたのだろうか。 事件を起こしたのが精神障害者であり、その背景に治療システムの不備があったことが明らかにされたためだ。 3件の殺人で起訴されたピーター・ブライアン無期囚は、統合失調症を罹患(りかん)していた。 1993年、彼は20歳の女性店員をハンマーで撲殺し、ランプトン保安病院に収容された。8年後の2001年、ブライアン無期囚は退院を認められ、コミュニティケアを受けるべく簡易宿泊所での生活をはじめた。しかし02年、彼は17歳の少女に暴行して開放病棟に再び入院となる。 04年2月、第2の事件が起こった。病棟を抜け出したブライアン無期囚が、45歳の知人を殺害し、遺体をバラバラにした
就職後すぐに離職する若者が増えるなど、学生の職業・勤労観形成が課題になっているとして、中央教育審議会大学分科会は、すべての大学や短大で「職業指導(キャリアガイダンス)」の授業を導入する方向で検討を始めた。科目として義務化するか、各大学に努力義務を課すにとどめるかなど、具体的な制度設計を急ぎ、早ければ来年度からの導入を目指す。【加藤隆寛】 同分科会の作業部会が「社会人として必要な資質能力を高めるためにも、職業指導を教育課程に位置付けることが必要」と提案し、14日の会議で大筋了承された。 分科会の委員からは「大学には本来(職業について)何らかの意図を持って入るはず」との意見も出されたが、「将来が見通しにくい社会構造になっている」などとして、入学してから職業意識の形成を図ることや、自分の適性を考えることの必要性を認める意見が大勢を占めた。 1~2年次の選択科目などを想定しており、大学設置基
小渕優子少子化担当相は3日午前の閣議で09年版青少年白書を報告した。仕事も職業訓練もしていない若者(ニート)が、08年は前年比2万人増の64万人となった。中学、高校時代に不登校だったり中退した人がニートになる傾向が強いことも判明した。白書は「さまざまな支援が必要とされているにもかかわらず(現在の支援が)ニート状態からの脱却に必ずしもつながっていない」と施策見直しの必要性に言及した。 ニートの年齢別内訳は、15~24歳(低年齢層)が26万人、25~34歳(高年齢層)が38万人。総数は02年以降、62万~64万人で推移しているが、低年齢層は02年比で3万人減ったのに対し高年齢層は3万人増え、いったんニートとなった人が社会復帰できず高年齢化している現状がうかがえる。 今回は不登校や中退した人の調査を初めて実施。今年2~3月、04年度に高校を中退した人1595人(回答168人)と、中学で不登校
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