あらためて「佐野眞一氏問題」を考えてみる 安田浩一氏との対話・第四回■メディアに自分から出ていってほしかった■ 安田: 混乱はあったにせよ、以前の佐野さんなら対応が違っていたかも。 藤井: 森達也さんとか『創』の篠田編集長とか援護射撃はあったし、一度は謝ったり、批判を受け続けながらでも、議論は続けながらでも並行して連載は続けるべきだというのがメディアの大方の意見だったと思う。僕も続けてほしいと思った。 安田: あの直後に佐野さんと話したときはまだ強気だった。僕は彼がどういう着地点を取るのか興味があったけれど、連載が続けば二~三回目以降から批判の風向きも変わってくるのではないかと思ってた。そういう期待もあったし。佐野さんは、露骨な政治的な圧力とか、たとえば朝日新聞政治部から圧力があったとかいう話だったら徹底抗戦したと思うんだけど、あれは部落差別だというふうに言われたことで佐野さんなりの良心が