/バブル時代、デジタル化で編集技術が飛躍的に向上し、書籍デザイナーという商売が爆発的に出版業界に食い込んだ。しかし、電子出版では、テキストデータ以上の余計なものは、あえてきれいに削ぎ落とされる。読者が本に求めているのは、見てくれのデザインではない。言葉、物語、感動だ。/ 電子出版になって驚くのが、書式の簡素化。つまり、本が純粋なテキストデータに戻って行っている。文字の大きさはもちろん、フォントや字詰めのような余計な書式が、アップロードで、きれいに落ちる。へたにややこしい書式があると、ひっかかってアップロードできない。ようするに、そういうものは、読者側には必要とされていない、という、電子書籍メーカーの判断だからだろう。 とにかくひどかった。自分もその末席で仕事をしてきたが、書籍デザイナーとやらは、本の著者よりも、はるかにギャラが高かった。著者が数ヶ月、数年もかけて丹念に推敲を重ねても、若造の