日本語は論理的でないとよく言われるが,理科系としては日常的に実感するところである.僕の認識では今のところ,その原因はおもに次の三点によっている.すなわち, (I) 関係代名詞を持たないために,形容句と被形容句の関係が不明瞭である. (II) あいまいな表現が多い. (III) 話者がかってな表現を作ることができる.つまり定義なしに言葉を使ってしまう. の三点である.それぞれについて以下に詳述しよう. (I) 関係代名詞を持たないために,形容句と被形容句の関係が不明瞭である.これは,有名な「背の高い鈴木さんの妹」とかに代表されるものである.だがこれは「あれ,背の高いのはだれ?」と疑問が生じるだけまだいい.もうちょっと入り組んでいるものとしてたとえば, 「日本人にいちばん多い病気」 という文章がある.これは一意的でない.考えられうる意味としては,次のものがある.すなわち, (i) 日本人がかか