8月の創業10周年記念の会見でのことだ。スーツ姿の小柄な青年がマイクに歩み寄り、こう切り出した。「創業当時は高校生に間違われましたが、今は新入社員に間違われるくらいに成長しました」。会場の笑いを誘ったこの青年が、サイボウズ社長の青野慶久だ。 36歳の青野はサイボウズの創業メンバー3人の1人。明るいキャラクターと物怖じしない性格で、サイボウズの“顔”として創業時からマーケティング戦略を一手に担っていた。既存の考えにとらわれない斬新な手法は、常に話題を巻き起こした。代表例が、サイボウズのイメージキャラクター「ボウズマン」だ。 「ボウズマーン! ボウズマーン!」 軽快なテーマ曲に合わせて、アメリカンコミック風のヒーローがマントを翻して地球を駆け巡る。このキャラクターを本格起用したのは、実は創業間もない頃の青野の強い希望だった。 創業メンバーで前社長の高須賀宣らは、「企業を相手にする商売なのに不真