東浩紀(あずま・ひろき)/1971年、東京都生まれ。批評家・作家。株式会社ゲンロン代表。東京大学大学院博士課程修了。専門は現代思想、表象文化論、情報社会論。93年に批評家としてデビュー、東京工業大学特任教授、早稲田大学教授など歴任のうえ現職。著書に『動物化するポストモダン』『一般意志2・0』『観光客の哲学』など多数この記事の写真をすべて見る ※写真はイメージ(gettyimages) 批評家の東浩紀さんの「AERA」巻頭エッセイ「eyes」をお届けします。時事問題に、批評的視点からアプローチします。 * * * 8月末に富山県南砺(なんと)市利賀(とが)村を訪れた。当地で開催中の国際演劇祭「シアター・オリンピックス」を見るためである。 シアター・オリンピックスは1994年に創設された国際演劇祭で、今回は日ロ共同開催となった。ロシア側の会場はサンクトペテルブルクだが、日本では人口数百人の