死後10年を経て「再発見」された作家ルシア・ベルリン。波瀾万丈の人生をもとに紡がれた作品には、不滅のエネルギーとポエジーがあった――。 稀代の作家と翻訳家がルシア・ベルリンの魅力に迫る。 ※この記事は2019年単行本刊行時のものです。 川上 文章のきっぷのよさは誰に似ているだろうと考えて、一番近いのはフラナリー・オコナーなのかなと思いました。オコナーは社会学をやっていたしクリスチャンでもあるから、どこか個人ではない場所から書いている感じがする。感じたことより考えたことが軸になるというか。 ルシアはそうではなかったかもしれないけれど、彼女の視線も相まって幼少期を過ごしたアイダホ、ケンタッキー、モンタナやテキサス州のエルパソの町の生活を描くことで、小説としてはおのずと社会性を帯びているんですよね。ある人間がどのような時期に、どのように生きたかをしっかり書けば、社会を照らす。その時の生の息づかい
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