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  • 『ぼくらの昭和オカルト大百科―70年代オカルトブーム再考』初見健一(大空出版) - 書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG

    →紀伊國屋書店で購入 ノストラダムスの大予言。ネッシー。ツチノコ。ユリ・ゲラー。スプーン曲げ。UFO。あなたの知らない世界。心霊写真。コックリさん。口裂け女。これら実にいかがわしいトピックが日全土を座巻した時代がありました。 70年代です。 70年代は「オカルトの時代」でした。エロ・グロ・ハレンチ・インチキ・ヤラセの匂いに満ちた時代の空気のなかで、さまざまな「不思議」が次から次へと現われては消えていきました。その多くは文字どおりの「子どもだまし」でしたが、どれもが夏祭りの縁日のアセチレンランプのように、ギラギラと妖しく魅力的に輝いて見えました。 70年代キッズでなくても、漫画『ちびまる子ちゃん』を読んだことがある人なら、その空気を感じとることができるはずです。「ノストラダムスの大予言」が怖くて眠れなくなったり、毛布にくるまって心霊番組を見たり、丸尾君とツチノコ探しをしたり、まる子は高い頻

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    SasakiTakahiro
    SasakiTakahiro 2012/11/27
    あの時代に漂っていたそこはかとない不安、暗い時代へ一気に転落していく予感のようなもの。
  • 『カブラの冬-第一次世界大戦期ドイツの飢饉と民衆』藤原辰史(人文書院) - 書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG

    →紀伊國屋書店で購入 著者、藤原辰史は悩む。世界全体で飢餓人口9億2500万と試算される現状のなかで、「ヨーロッパの一国が一時期体験したにすぎない飢餓の事実は読者の目にあまりに小さく映るのではないか」。「経済大国ドイツの飢餓の状況を経済大国日で紹介することにどれほどの意味があるのか」。「結局は、「先進国」中心主義的な見方を補強することになりはしないか」。この著者の真摯な悩みを、書のもととなった講義の受講生や講演会の聴衆は、しっかり受けとめた。その理由は、書を読めばわかる。 第一次世界大戦がはじまった翌年の1915年から休戦協定が成立した18年までのドイツの餓死者は、76万2796人であった。ここには兵士は含まれない。料輸入大国ドイツは、生命線としての輸送網を、イギリスの海上封鎖などによって断たれ、「兵糧攻め」にあった。その結果、1915年の「豚殺し」と1916年から17年にかけての

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    SasakiTakahiro
    SasakiTakahiro 2011/05/01
    著者の悩みは、二度と「ある少年」のような少年がでないために、自分になにができるか、である。
  • 『私の居場所はどこにあるの?』藤本由香里(朝日文庫) - 書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG

    →紀伊國屋書店で購入 「今こそ読み返すべき、少女マンガ論の古典として」 書は、いまさら改めて紹介するのも戸惑われるほどによく知られた少女マンガ論の名著である。 個人的な思い出を記せば、1990年代中盤に、私が在籍していた北海道の大学で、女性とメディアに関するシンポジウムが開かれた際、登壇者であった上野千鶴子さんが、少女マンガに関する女性のリアリティを的確に描いた著作として紹介されていたのを思い出す。それからすでに15年ほどが経とうとしているが、今、この著作を取り上げるのは、その後の少女マンガや文化の変遷を捉えるために、あえて古典として読み直す必要を訴えたいからである。 そのタイトルにも触れながら著者が主張していたのは、「少女マンガの根底に流れているのは、「私の居場所はどこにあるの?」という問い、誰かにそのままの自分を受け入れてほしいという願いである」(P143)ということであり、親密な他

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    SasakiTakahiro
    SasakiTakahiro 2011/03/02
    嵐のメンバーは個々人が擬似恋愛の対象というよりも、むしろメンバー5人が全員そろってじゃれあっている姿、その俯瞰図を見ることのほうが楽しいのだという。
  • 『切りとれ、あの祈る手を――<本>と<革命>をめぐる五つの夜話』佐々木中(河出書房新社) - 書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG

    →紀伊國屋書店で購入 「情報と文学の関係」 著者の佐々木中氏は『夜戦と永遠 フーコー・ラカン・ルジャンドル』(2008年)という大部の思想書で、注目を集めた。書でも特にルジャンドルが重要な導きの糸となっているものの、主題はあくまで「文学」に据えられている。 では、佐々木氏の文学観はどのあたりにあるのか。彼の語りは一種憑依型で、独特のリズムがあるが、言わんとすることは比較的単純である。すなわち、無味乾燥な「情報」の摂取にまで切り詰められた読書行為を、徹底して身体的で崇高なものとして捉え返すこと、これである。佐々木氏にとって、それはほとんど、読めないテクスト(聖典)を読み、しかも書き換えるという逆説的行為に近い。ゆえに、文盲であったムハンマド、読むことを「祈りであり瞑想であり試練である」といったルターが高く評価される。あるいは、ダンスや音楽を通じた「革命」が志される。 逆に、書では、「情報

    『切りとれ、あの祈る手を――<本>と<革命>をめぐる五つの夜話』佐々木中(河出書房新社) - 書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG
    SasakiTakahiro
    SasakiTakahiro 2010/12/05
    中世の法学データベースとポストモダンの大衆化・電子化したデータベースが仮に外見上似ていたとしても、その社会的背景や機能はほとんど正反対である。
  • 『「科学技術大国」中国の真実』伊佐 進一【著】(講談社現代新書) - 書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG

    →紀伊國屋書店で購入 「客観的な目でみた中国の科学技術開発と、日との関係」 日はいずれ中国に追い越されそうだ、という焦燥感が、今の日には蔓延している。その懸念にはある程度妥当な側面もあれば、単に隣の芝生を青く見ているだけの側面もあるだろう。 書は、科学技術担当の一等書記官として三年間、北京の日大使館に勤務した著者が、発展めざましい中国の科学技術について、何が優れており、またどこに問題があるのかを、客観的な筆致で網羅的に分析したである。 近年の新書の傾向と異なり、はっきりした専門のある著者が、一般にはほとんど知られていない科学技術、および中国におけるその発展の進行について、いわばマニアックに記述していくである。しかし読み進めるうちに、日々新聞やニュースで目にする情報の裏側が透けて見えるようになるという知的興奮が味わえる。 たとえば書出版後のつい先日、10月29日の新聞各紙では

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    SasakiTakahiro
    SasakiTakahiro 2010/11/04
    中国という巨大市場における「標準化」競争をどう戦うかという戦略
  • 『蟻族――高学歴ワーキングプアたちの群れ』廉思【著】 関根謙【監訳】(勉誠出版) - 書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG

    →紀伊國屋書店で購入 「就職難に直面した中国の地方出身大卒者」 日で話題になる「高学歴ワーキングプア」は、大学院卒のことである。特に、博士課程修了者や博士号取得者で仕事のない人々のことを指すだろう。 中国の大学院生も、特に文系出身者は、(まだ日ほど顕在化していないが)同じようなキャリアの不透明さに悩まされている。しかしこのはそれ以前の、大卒者の苦労を描いたものであり、大学卒業資格の価値下落の結果を書いたものである。 書が出版されたのは、評者が北京に滞在していた2009年のことであり、当時の中国で大変話題になっていたことを思い出す。英語圏と国内の学会誌のみを見ている大学・研究者の世界というより、広く読書界で話題を呼んだ。 地方から大学進学のため出てきたものの、低賃金の仕事しか見つからなかった、または仕事が見つからなかったなど、折からの就職難の中で望ましい就職のできなかった若者が大量に

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  • 『希望難民ご一行様――ピースボートと「承認の共同体」幻想』古市憲寿・本田由紀【解説・反論】(光文社) - 書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG

    →紀伊國屋書店で購入 「豊富な一次資料を用いた若者の『自分探し』分析」 三浦展(『下流社会』)などの著名な論者により、若者が夢の「青い鳥」を追い過ぎているという言説がひとしきり行き渡った。しかし他方で、現在の若者はリスクテイクをせず、を読まないし旅行にも行かないなど、自閉的になりつつあるという人も多い。一体若者は、内実のない夢を追っているのだろうか、引きこもり内閉していっているのだろうか。 この『希望難民ご一行様』の著者、古市憲寿は25歳で、彼自身が若者と呼ばれてしかるべき年代である。書は大学院に提出された修士論文を元にしている。 古市は三浦展に近い見方をしている。彼がサンプルに選んだのはピースボートという、世界一周クルーズを行うNGOの活動である。 まずは古市の議論を概観してみよう。 最初に理論篇があり、1973年を境とする戦後世界の転換を経た「後期近代」を、諸個人が「終わりなき自分

    『希望難民ご一行様――ピースボートと「承認の共同体」幻想』古市憲寿・本田由紀【解説・反論】(光文社) - 書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG
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