[ウィーン発]「信頼してくれて感謝します。これは他者に対する勝利ではなく、変革するチャンスなのです」――若き変革者は謙虚に静かな雄叫びを上げた。 欧州の交差点、欧州連合(EU)の「へそ」に当たるオーストリアで国民議会(下院、183議席)選挙が15日行われ、セバスティアン・クルツ外相(31)に率いられた中道右派・国民党が15年ぶりに議会第1党の座を奪還した。 クルツは戦後長らくオーストリア政治を支配してきた中道左派・社会民主党と国民党の「馴れ合い政治」との決別を唱え、既存政治に飽き飽きした若者の支持を集めた。反移民・反難民を声高に唱える極右・自由党との連立を模索するとみられる。 極右政党が連立入りすればEUの反発も予想される。2000年、自由党は国民党との連立政権に参加、オーストリアは国際社会から「極右の政権参加は認められない」と激しく非難された経緯がある。 クルツ外相が首相に就任すれば「世